残クレは、車の買い方のひとつで、車の価格からあらかじめ数年後の価値(残価)を設定し、残価を除いた金額を契約期間中に分割し、支払う仕組みです。カーリースとの違いやメリット・デメリットについて解説します。
残クレは、残価設定型クレジットの略で、近年注目を集めている車の買い方のひとつです。従来の買い方とは異なり、1か月の支払い額が抑えられるため、憧れの車に乗りやすくなります。
お得な買い方ではありますが、使い方に制約があるなどのデメリットもあります。また、状態によっては、追加料金が発生する可能性もあるため、ご注意ください。
本記事では、賢く利用するために、仕組みやメリット・デメリット、利用が向いている人などを詳しく解説します。ご自身に合った買い方を見つけたい方は、参考にしてください。
車の買い方のひとつで、車両価格からあらかじめ数年後の価値(下取り価格)を設定し、差し引いた金額を契約期間に分割で清算する仕組みです。
従来のローンの場合、車両本体価格の全額を分割し、月々清算します。対する残クレは、数年後の下取り価格を差し引いた金額でローンを組むため、1か月の清算額を抑えられる傾向にあります。
たとえば、500万円の車を従来のローンで購入すると、500万円を返済月で割った金額を月々清算しなければなりません。
残クレを使用した場合、3年後の想定評価額が仮に250万円だったとして、500万円から250万円を差し引いた250万円を2年11か月で分割して清算し、1番最後の月に250万円清算するかを選べます。
1番最後の月に残価を精算するのであれば、一見お得には感じられないかもしれません。しかし、1番最後の清算月を迎えるときには、3つの選択肢から選ぶことができ、選択次第では車の総額が安くなる可能性があります。
1番最後の清算月を迎えたときにはどんな選択肢があるのか、以下で詳しく解説します。
1番最後の清算月を迎えたときの選択肢は、次の3つです。
・新たな車に買い替える
・車を販売業者に返却する
・車に乗り続ける
ひとつ目の新しい車へ買い替える場合、残存価格を清算する必要はありません。
これまで乗っていたものを買い替え時に改めて査定し、評価額が残存価格より高かった場合は差額が返金されるか、新しく購入するものの頭金にあてることが可能です。
残価より評価額が低くても、基本的には差額の請求はありません。ただし、事故による修復歴がある場合や、走行距離が大幅に超過している場合など、状態が著しく悪い場合には残存価格が減額されることがあります。
その場合、差額を支払う必要もあるため、ご注意ください。
また、新しく乗り換えるものは、原則として同じメーカーの車に限られます。一部新車販売店や中古車販売店では、異なるメーカーの車でも利用できる場合がありますが、この場合は残存価格の設定が厳しくなったり、手数料が高くなったりする可能性があります。
2つ目の車を販売業者に返却する場合も、残価を清算する必要はありません。
ただし、この場合も、状態が著しく悪ければ追加料金が発生する可能性があるため、ご注意ください。
3つ目の車に乗り続けることを選んだ場合は、残価の清算が必要です。
この場合は、一括で清算するケースと再ローンを組むケースがありますが、再ローンが組めなかったり、金利手数料が発生したりする場合もあるため、契約前に確認しておきましょう。
仕組みが似ていることで混同されやすいですが、共通点もあれば相違点もあります。2つの違いを知るために、それぞれの共通点と相違点を詳しく解説します。
共通点は、1か月の精算額が抑えられる点と契約期間満了時に選択肢がある点です。
どちらの買い方も残価を設定し、車の値段から差し引いた金額を契約月数で割って清算するため、1か月にかかる費用が抑えられます。
また、乗り換え・返却・買い取りといった選択肢があります。そのため、数年後の車の価値を落とさないために、走行距離やカスタマイズに制限が設けられています。
さらに、損傷ができてしまった場合には、追加料金が請求される可能性があるでしょう。
相違点は、所有者と返済額の内容が異なる点です。残クレの場合は信販会社や販売業者が所有者となり、カーリースの場合はリース会社が所有者です。
月々の返済額の内容は、残クレでの場合は返済金になるため、車両代金を分割した金額に利息が上乗せされます。
清算しているのは返済分だけになるため、保険料や各種税金は1か月の料金とは別に清算しなければいけません。
カーレースの場合はレンタル契約のため、1か月の清算は返済ではなく使用料にあたり、車両代金以外に保険料、各種税金、サポート料、車の登録手数料などが含まれます。また、使用料のため、利息は含まれません。
ほかの買い方と比べたときの残クレのメリットについて詳しく解説します。
残価の清算が1番最後の月に据え置かれ、残価を除いた金額を月々分割で清算する残クレは、従来の買い方より低い返済額になる可能性があります。
たとえば、300万円の車を購入する場合、金利2%でローンを組み、5年間で返済する場合、1か月の清算額は52,583円です。
これを残クレで同じ金利、同じ期間で清算するとき、残価が120万円だったとすると1か月の清算額は34,057円です。このように、同じ金額・金利・期間で比較すると、大きな差があることがわかるでしょう。
また、人気のモデルや新型車の方が残存価格が高くなる傾向があります。残クレなら、人気のモデルや新型車でも、通常より低い返済額で乗ることが可能です。毎月清算する金額が抑えられるため、資金が少ない場合でも憧れの車に手が届きやすいことが大きなメリットです。
契約時に残価を決めるため、その金額が契約終了時の下取り価格です。従来の買い方で所有し売却する場合、下取り価格は売却を決めた時点での市場価値によって決まります。
モデルや市場の状況によっては、ほとんど売却益がない可能性もあります。
しかし、残クレの場合は契約時に決めた残価で売却ができるため、下取り価格があらかじめ保証されています。
車の乗り換えには、旧車の売却や廃車手続きが必要になるため、手続きの時間や費用、手間がかかります。
しかし、残クレは1番最後の清算回の前に返却・乗り換え・購入のいずれかを選ぶシステムになっているため、乗り換えたい場合は販売店に返却するだけです。面倒な手続きは必要なく、スムーズに乗り換えられることもメリットといえるでしょう。
ほかの買い方と比較したときには、どんなデメリットがあるのでしょうか。考えられるデメリットについて、詳しく解説します。
従来の買い方に比べると、金利が高くなることが多いです。また、金利は返済金額の残額に対してかかり、残クレの場合は残存価格があることで利息が高くなるケースがあるため、ご注意ください。
たとえば、従来のローンと残クレを利用してそれぞれ同じ車を購入すると、従来のローンの場合、毎月の清算額は高くなりますが、その分元金が早く減ります。
しかし、残クレの場合は残存価格が1番最後の月まで残るため、元金の減りも遅くなります。
車を販売業者に返却する可能性のある残クレでは、車の価値を下げない使い方を求められるため、自由にカスタマイズできません。
自分好みに変えたい人にとっては、デメリットと感じるでしょう。
もし、カスタマイズして返却時に残価より車の価値が下回ってしまうと、差額を請求される場合があるため、ご注意ください。
車に乗るのに走行距離を気にしなければいけないことも、残クレのデメリットのひとつです。なぜなら、走行距離が長くなってしまうと、売却時の評価額が下がってしまうためです。
走行距離の上限設定値は、各販売業者によって異なります。もし超過してしまった場合は、追加料金が請求される可能性があるため、契約前にあらかじめ確認しておきましょう。
契約終了時に車を乗り換えることを選択した場合、残クレでは、原則同じメーカーの車にしか乗り換えできません。
別のメーカーに乗り換えたいときは、残存価格をすべて清算し、新しいメーカーで購入手続きを行います。この場合、残価の精算は一括で行うか、改めてローンを組むことになります。
次にローンを組んだ場合、残価のローンと新車のローンを同時に清算しなければならないため、経済的負担は大きくなるでしょう。
売却時に値下がりの可能性が高い車種の場合は、残価設定してもらえることが残クレのメリットです。
しかし、一般的に人気の高い車種の場合、売却時に残価より高い価格で下取りしてもらえることがよくあります。そのため、人気の高い車種の場合、自分の所有物にはならず、走行距離やカスタマイズの制限がある残クレは、かえってデメリットになるでしょう。
車の価値を維持するために、走行距離や車のカスタマイズに制限が設定されています。そのため、契約満了時にそれらの理由や事故による損傷で車の価値が残価より低くなってしまうと、追加料金が請求される可能性があることがデメリットです。
1か月に清算する料金が安いと思っていても、最終的に追加料金が思った以上に請求されて、実際には別の買い方のほうが安くつく場合もあるでしょう。
どんなにメリットがあったとしても、その買い方がすべての人に向いているわけではありません。
状況によって向いている人と損する人がいるため、どんな人が向いているのか、損をしてしまう人はどんな人なのか、それぞれの特徴を解説します。
車を買う場合、一括で清算できなければローンを組む必要があり、ローンを組むには審査に通らなければいけません。
一般的にローンで借りられる金額の上限は年収の30〜40%といわれており、仮に年収350万円だとすると借入可能額は105〜140万円程度です。
もし、借入可能額以上の金額のものを購入したい場合は、残りの金額を現金で用意する必要があり、用意できなければ購入できません。
残クレの場合、残価設定があるため、まとまったお金を用意する必要はありません。そのため、購入時にまとまったお金を用意するのが難しい人は残クレの利用を検討するとよいでしょう。
また、短いサイクルで買い替える可能性が高い人にも向いています。たとえば、結婚・出産・引っ越し・子どもの独立といった人生のイベントが数年後に控えていると、ライフスタイルが変化するため、利用したい車種が変わる可能性が高くなるでしょう。
そのほか、常に最新のモデルに乗りたい人や、さまざまな車種に乗りたい人にも向いています。
残クレでは、車が自分の所有物にはなりません。また、契約期間が終了した時点で売却することを前提としているため、車の価値を維持するために走行距離やカスタマイズに制限があります。
もし、制限を守らなかったり、事故などで車に大きく傷をつけてしまうと契約終了時に追加料金を請求される可能性があります。
そのため、車の使用頻度や1回の走行距離が長い人、車をカスタマイズしたい人、車の運転があまり得意ではなく、車を傷つける可能性が高い人は損する可能性が高いでしょう。
また、車を一括で購入できる人が残クレを利用すると、利息の分だけ損をしてしまう可能性があります。
利用にあたって、注意すべき点がいくつかあります。後々トラブルにならないように、あらかじめ確認しておきましょう。
条件を守らずに使用してしまうと、契約終了時に追加料金の清算が発生します。トラブルにならないためにも、契約前には残価保証条件をしっかり確認することが大切です。
条件はメーカーによって異なりますが、本体に損傷または事故修復歴がないことや、違法改造をされていないこと、設定されている走行距離を超えていないことなどがあります。詳細はメーカーによって規定が異なるため、契約前に確認しておきましょう。
契約終了後に乗り換えを選んだ場合、乗り換える車の頭金や各種税金が初期費用としてかかってしまうことがあるため、ご注意ください。頭金は車種やグレード、契約内容などにより異なります。
また、同じ販売業者で乗り換える場合、乗り換える車の初期費用をローンに組み込める可能性もありますが、一括清算を求められる場合もあります。その場合、一般的には本体価格の10〜20%程度を一括で清算しなければいけません。
初期費用がかかることを知らなければ、乗り換え時に思ってもいない費用が必要になって焦ったり、車の乗り換えを諦めたりする可能性があります。
もし事故を起こして車を大きく傷つけた場合、残存価格が保証されず、残価と契約終了時の評価額との差額を清算する必要があります。
たとえば、残価が100万円で契約終了時の評価額が10万円だった場合、足りない分の90万円を清算しなければいけません。そうなれば、通常ローンで購入した方が安くつく可能性が高くなってしまうため、利用するメリットがなくなってしまいます。
残価があることは魅力のひとつですが、使い方によっては保証されないリスクがあることは理解しておきましょう。
ローンの清算期間中に事故にあってしまった場合、車両保険でローンの残債が清算されます。
しかし、購入時から期間が経っていれば、車の市場価格は変動し、保険会社の査定評価額が残価より低くなる可能性があります。
また、事故にあって損傷すると、自己修復歴がつくため、契約終了時に残価をすべて完済しなければいけません。しかし、保険料で清算されるのは事故でおきた損傷の修理代だけのため、残価のすべてを清算できません。
もし、全損したとしても事故をした時点での年数と走行距離で評価した金額しか清算されないため、残価に足りない可能性が高いでしょう。
これは、自分に非がないもらい事故の場合でも同じことです。相手方の保証金額は事故にあった時点での車の査定評価額に対しての修理費用が支払われるため、残価より低い金額しか受け取れない可能性があります。
事故にあってしまうと、保険料金で残価をカバーできない可能性が高く、多額の自己負担が必要になるため、ご注意ください。
こちらの記事では、車を売却する際に必要な書類について解説しています。
軽・普通自動車別に取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
残クレは1か月の清算額を抑えつつ、憧れの車に乗ることができる魅力的な選択肢ですが、年間走行距離やカスタマイズに制限が設けられています。
また、傷や故障、事故などの場合には、修理費用を支払う必要や、残存価格との差額を支払う必要が生じることがあります。
傷や故障がある場合は、販売業者に返却するより廃車査定でスムーズに売却した方が手間もコストも抑えられます。また、廃車査定なら、日本全国で対応しているカーコレクトにお任せください。
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