事故で廃車になったらどのような保険金がもらえるか、廃車にした方がよい車の基準を解説します。さらに、廃車になったときの注意点や廃車手続きの方法も併せて見ていきましょう。
車を廃車にする場合、保険金を受け取れるのか不安に思う方もいるでしょう。さらに、廃車にするべきか判断できず、どのような基準で廃車にすればよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、事故で廃車になったときに受け取れる保険金に加え、廃車の基準を解説します。さらに、廃車にするときの注意点や廃車手続きの流れについても解説しています。
車を所有しているほとんどの方が、万一の事故のために、自動車保険に加入しています。しかし、実際に事故が起きてしまい、廃車になったら、どのような保険金を受け取れるのかわからない方もいるでしょう。
ここでは、廃車になったときの保険金の種類や特徴を詳しく紹介します。
まずは、自分の自動車保険から受け取れる補償の種類について解説します。
自動車保険に加入する際に、車両保険をつけるか決めるのが一般的であり、車両保険がついているかによって、受け取れる保険金が変わります。
車両保険は、事故で車が破損したり、故障したり、もしくは廃車になったりしたときに、自身が加入している保険から、破損額や車の市場価格に応じた保険料を受取れるという仕組みです。
車両保険の種類によって、適用条件や保険金額が異なり、他損事故だけでなく、自損事故にも対応しているものもあります。車両保険がついていれば、廃車になっても、条件に合った保険金が支払われるため、乗り換え費用に充てられます。
ただし、車両保険を利用すると、保険等級が下がり、次年度以降の保険料が高くなる可能性が高いです。そのため、実際は修理費用等に応じて、利用するか検討することが大切です。
たとえば、もとの等級に戻るまでに3年かかると仮定した場合、3年間で現在の保険料よりも30万円増額したとすると、修理費用が30万円を超えるかが保険を使うかの見極めポイントです。
修理費用によっては、保険を使わずに直した方が結果的によい場合があるため、総合的に判断しましょう。
新車特約とは、車両保険に付帯するオプションであり、加入することで、所有している車の新車価格に相当する金額を受取れます。
車両保険だけの場合、所有している車の市場価格に応じた金額しか支払われないため、車の年式が古くなるほど、受け取れる金額が下がります。しかし、特約に加入していれば、年式や中古車相場にかかわらず、新車時の金額がそのまま受け取れるため、車両保険にだけ加入しているよりも、保険金を多く受取れます。
車は納車された直後から、価値が下がるといわれており、300万円で購入した車を納車日に査定に出しても、300万円の価値にはなりません。一般的には、市場価格に基づいて保険料が支払われることから、納車から時間が経っていない場合でも、新車と同等の金額を補償してもらうのは難しいです。
しかし、新車特約であれば、所有している車と、同等の車を購入する費用を補償してもらえるため、市場価格に左右されないというメリットがあります。そのため、保険に加入するときは、万一に備えて新車特約を付帯させておくことをおすすめします。
車両保険に付帯するオプションであり、加入していることで、新しい車に乗り換えるときに必要な諸費用相当額を、保険金として受け取れます。
というのも、車両保険や新車特約は、あくまでも車の本体価格に充当されるものなので、乗り換え時の税金や印紙代、車庫証明費用といった諸費用に充当できません。しかし、買替時諸費用特約に加入していることで、車の購入に必要な諸費用分を受取れます。
事故で車が破損してしまい、修理の見積もり額が、中古車の市場価格を超えるときに利用できる特約があります。一般的に、修理に対する保険金は、市場価格の範囲内であることから、仮に修理見積もりが100万円で、中古車相場が70万円であった場合は、70万円までしか補償されません。
しかし、この特約が付帯していれば、修理見積もりが市場価格を超えても、超過した分を保険金として受け取れます。
車を修理しているときや廃車になってしまった次の車が納車されるまでの間、レンタカーの費用分を補償してくれる特約があります。特約が付帯していることで、修理などで車に乗れない期間があっても、レンタカー費用分を補償してくれることから、補償額によっては自己負担なしでレンタカーを利用できます。
とはいえ、所有している車と同等グレードのものしか借りることができません。そのため、レンタカーをグレードアップして借りた場合は、全額補償されないケースもあるため、注意しましょう。
ここからは、事故の相手が加入している保険会社から受け取れる保険金を見ていきましょう。
自動車保険には、対物賠償責任保険がついています。対物賠償責任保険とは、自分の過失で相手の車や所有物を破損させてしまったとき、原状復帰にかかる費用を補償するための保険です。事故相手がいる場合、相手の対物賠償責任保険から、自分の車の修理費用等を補償してもらえます。
ただし、相手側の対物賠償責任保険で補償してもらう場合であっても、該当の車の市場価格までしか負担してもらえないため、注意が必要です。
対物賠償責任保険ではカバーできない市場価格を超過した分についても、補償してもらえる特約があります。特約がついていることで、車の市場価格と修理費用に関して争いが起こりにくくなり、スムーズに解決できるメリットがあります。
相手側の過失により、自分の車が破損してしまい、修理が完了するまで車に乗れない状態がつづく場合、レンタカー代を相手側に請求できます。
ただし、現在所有している車よりも、グレードが高いレンタカーを借りる場合は、全額が認められない場合があるため注意しましょう。
事故によって怪我をしてしまった場合は、相手側に治療費を請求できます。交通事故によって、通院や入院が必要になった場合、自分の健康保険を使うことはできず、相手側の自賠責保険や自動車保険を使うことが一般的です。
ただし、通院日数が多かったり、怪我と通院実績の整合性がないと判断されたりした場合は、治療費の支払いを打ち切られる場合があります。とはいえ、通院の必要性を証明し、相手側の担当者と交渉すれば、通院を認めてもらえるケースがほとんどです。
万一、交渉に応じてもらえないときや交渉するのが難しい場合は、弁護士に相談して、代わりに交渉してもらう方法もあります。弁護士を代理人として立てる場合は、自身が加入している保険会社に、弁護士費用を負担してもらえるか相談しましょう。
事故の状況によっては、車が大きく損傷してしまって、修理できずに廃車になってしまうことも少なくありません。とはいえ、事故で廃車になると、手元に車がない状態がつづきます。
ここでは、廃車になったときに、とくに注意したい2つのポイントを解説します。
廃車を機に、新しい車の購入を検討しているものの、次の車が納車されるまでに時間がかかってしまうケースは多いです。とくに、人気車種の場合は、注文してから4~6か月以上かかることも珍しくありません。
しかし、そのまま自動車保険に加入していると、手元に車がない状態にもかかわらず、保険料を支払いつづける必要があります。そのため、新しい車が納車されるまでに時間がかかるときは、一時的に自動車保険を解約して、中断させるのがポイントです。
また、解約時に中断証明書を発行してもらえば、次に自動車保険に加入するときに、保険等級を継続させられます。そのため、自動車保険を一時的に解約するときは、中断証明書を発行してもらうことを忘れずに依頼してください。
中断証明書を発行してもらうことで、新しい車が納車されるタイミングで自動車保険に加入する際、以前の保険等級を引き継げます。ただし、中断証明書を発行してもらうには、保険会社によって条件があり、一般的には7等級以上でなければ中断証明書を発行してもらえません。
事故で廃車になった場合、自動車保険を解約するべきかどうか悩む方もいるでしょう。
ここでは、自動車保険を解約するのかについてと、解約のタイミングについて解説します。
自賠責保険は強制保険とも呼ばれており、車を公道で走行させる場合は必ず加入しなければならない保険です。車両ごとに保険加入が義務付けられているので、廃車にするときは、自賠責保険を解約しましょう。
また、自賠責保険は車の購入時や車検のときに、36か月または24か月または25か月単位で契約しているので、途中解約することで、払いすぎている保険料の一部が返金されます。
状況に応じて保険の解約を検討しましょう。ここでは、状況ごとに詳しく解説します。
すぐに新しい車に乗り換える場合は、車両入替の手続きを行うことで、継続して任意保険に加入できます。車両保険に加入する場合は、車種や年式などによって、保険料が異なることがありますが、等級や契約期間が引き継がれるため、スムーズに手続きしてもらえるでしょう。
廃車をきっかけに車に乗らなくなる場合は、任意保険を解約しましょう。保険料を一年単位で支払っている場合は、解約月に応じて保険料が返金されます。
廃車のタイミングで、長期間車に乗らない場合についても、任意保険を解約した方がよいでしょう。ただし、どこかのタイミングで車を購入して、任意保険に加入する予定がある場合は、保険解約時に中断証明書を発行してもらうことが大切です。
事故が起きてしまい、車が破損し、廃車になるかどうかわからないという方もいるでしょう。
ここでは、廃車にするかどうかの基準を詳しく解説しています。
廃車にするのか判断するために、ひとつの基準として考えられるのが、全損扱いになるかです。全損と聞くと、車が大破してしまい、修理不可能な状態をイメージする方が多いのではないでしょうか。
もちろん、修理不可能な状態も全損となりますが、実際は物理的全損と経済的全損の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。物理的全損とは、修理ができないときや修理しても元の状態に戻らないことを指し、経済的全損は修理できるものの、車の市場価格よりも修理費用の方が高くなる状態のことを指します。
いずれかの全損に部類されるときは、廃車を検討した方がよいでしょう。
全損扱いのほかに、フレームが損傷しているかも廃車にするか判断するときの基準です。フレームとは、車の骨格部分であり、重要な構造物です。フレームは、一度損傷すると、完全に元通りに戻すことが難しく「事故車」という扱いになり、安全性が低下します。
さらに、中古車相場においても、価値が下がってしまい、ほとんど値つかないことも珍しくありません。そのため、フレームが損傷した場合も、廃車を検討することをおすすめします。
とはいえ、思い入れのある車や珍しい車種の場合、たとえ元通りに戻らなかったとしても、修理したいと思う方もいるでしょう。そのような場合は、廃車にせず修理しても問題ありません。
ただし、フレームが損傷すると、車体のバランスが崩れたり、剛性が落ちてしまったりすることから、正常に走行できなくなってしまう場合があります。さらに、経年により、歪みが発生して、状態が悪化してしまうケースも少なくありません。
そのため、フレームが損傷した車を乗り続けるときは、状態が悪化することをしっかりと理解したうえで、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。
保険会社から提示される補償額によって、廃車にするか検討するのもよいでしょう。保険会社の判断によって、実際に修理にかかる費用よりも減額されてしまう可能性も少なくありません。
また、車の市場価値によっては、十分な修理費用を補償してもらえず、完全に車を修理できないといったこともあるでしょう。そのため、保険会社からの提示額によっては、修理ではなく、廃車を検討した方がよい場合もあります。
事故によって廃車が必要になった場合、廃車の手続きを行わなければなりません。ひとえに廃車といっても、大きく分けて2種類の手続きがあります。
ここでは、廃車手続きの方法を詳しく解説します。
一時抹消登録とは、文字どおり、一時的に登録を抹消する手続きであり、再度手続きを行うことで、車を再登録できます。廃車手続きを進めるものの、まだ車が乗れる状態であったり、中古車買い取り店が買い取ったりする場合は、一時抹消登録を行うことが一般的でしょう。
一時抹消登録では、車検証やナンバープレートに加え、印鑑証明書や印鑑、手数料などが必要であり、必要書類を管轄の運輸支局に提出すれば、手続きできます。一度、一時抹消登録をすると、ナンバープレートがついていない車となることに加え、車検がなくなることから、公道を走行できなくなります。
そのため、一時抹消登録するときは、廃車予定の車で運輸支局に行かずに、ほかの車を使ったり、公共交通機関を使ったりしましょう。
なお、一時抹消登録を行うと、すでに支払っている自賠責保険料の一部が返金される場合があります。さらに、自動車税を支払っている場合は、廃車手続き月に応じて、自動車税の還付金を受取れます。
そのため、一時抹消登録を行うことを決めたら、すぐに手続きを行い、支払いすぎている保険料や自動車税を返金してもらいましょう。
一方、永久抹消登録は、永久的に車の登録を抹消する手続きであり、車を解体しなければなりません。車の修理が不可能な場合や、中古車として再販が難しい場合などに、永久抹消登録を行うことが一般的で、一度手続きを行うと、再登録できません。
永久抹消登録では、車検証やナンバープレート、印鑑証明書や印鑑に加え、解体証明書、手数料が必要です。なお、管轄の運輸支局からは解体業者を紹介してもらえないため、自分で解体業者を探す必用があります。
さらに、解体業者まで車を運搬するためのレッカーも自分で手配しなければならないため、想像以上に時間と労力がかかります。
レッカーと解体業者を手配し、解体業者に車を解体してもらったら、解体証明書を忘れずに受け取りましょう。そして、必要書類と解体証明書を運輸支局に提出すれば、永久抹消登録の手続きを進められます。
なお、ディーラーや中古車販売店等でも、手続きを代行してもらえますが、状況によっては、代行費用や手数料を請求されることがあるため、あらかじめ費用については相談しておいた方がよいでしょう。
事故などで廃車にした場合、もらえるお金は保険金だけではありません。廃車にしたときに戻ってくる還付金について、こちらで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
事故で車が損傷してしまったら、車の状態によっては廃車になることがあります。
単独事故の場合は、自分が加入している保険会社より、車の修理費用等を補償してもらいます。しかし、相手がいる事故において、相手側に過失がある場合は、相手の保険会社より、車の修理費用や諸費用等を補償してもらうのが一般的です。
ただし、補償額は市場価格を限度になることが多く、年式が古い車は、補償額よりも修理費用の方が高いことも珍しくありません。そのため、修理せずに廃車にした方がよい場合もあるでしょう。
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