自動車を廃車した際にしっかりと手続きを進めておきたいのが、還付金の受け取りです。
自動車に関わる税金や保険料は数年分を前払いするものが多いため、廃車すると残りの期間分が還付される場合があります。
還付金の申請手続きは税や保険料の種類によって異なります。
廃車の手続きに連動して自動的に精算されて戻ってくるものもあれば、自分で申請を行う必要があるものもあるため、受け取り損なわないよう、しっかりと手続きを進める必要があります。
本記事では廃車で受け取れる4種類の還付金について、概要や受け取り方法を解説します。
自動車税とは、自動車を所有している場合に課される税金です。
4月1日時点の状況にもとづき課税され、5月中に都道府県から送付される納税通知書によって納付します。
自動車税は4月1日の所有状況にもとづいて、1年分を前払いでまとめて納付します。そのため年度途中に廃車した場合は、それ以降分に相当する自動車税の還付が生じます。
還付金額は月割で決定されます。廃車手続きが完了した月の翌月から、3月分までの納税分が還付されます。
納税額は排気量の種類によって異なるため、還付金額もそれに応じた金額になります。
また軽自動車で納めるのは軽自動車税のため、自動車税の還付の対象にはなりません。
自動車税の還付に際して行う手続きはありません。
廃車手続きは管轄の運輸支局で行いますが、その手続きが完了したら、運輸支局から自動車税事務所へ情報が連携されます。
自動車税事務所から還付通知書が届くので、銀行や郵便局などの指定の金融機関に持参し、換金してください。
還付通知書が届くまでには時間がかかります。繁忙期では、2~3か月程度を見ておきましょう。
自動車重量税は、新車購入時と車検時に課される税金です。自動車の重量に応じて税額が決まります。
新車購入時は3年分の税額を、車検時は2年分をまとめて支払います。
自動車重量税は複数年分をまとめて払うため、廃車時に車検の期間が残っていれば、その月数分が還付の対象になります。
自動車重量税の還付は永久抹消登録が対象です。自動車の利用を一時的にやめる場合の一時登録抹消は、対象となりません。
また自動車重量税は軽自動車も対象です。
自動車重量税は廃車の手続き以外に、還付の手続きが必要です。
還付申請書は運輸支局等の管轄の窓口に提出します。税務署を経由して還付金が支払われますが、手続きから2か月以上は見ておきましょう。
自動車重量税はスクラップ業者による解体が完了し、解体移動報告が確認できて初めて還付されます。
自動車の自賠責保険とは、自動車ごとに加入が義務付けられている強制保険です。
車検時に次の車検までの2年分をまとめて支払います。自賠責保険は税金と異なるため、自動的に還付されません。
手続きを取らない限りは加入状態が継続するため、解約の手続きが必要です。
自賠責保険は車検時に2年分をまとめて支払うため、廃車をした場合はそれ以降分の還付を請求できます。
還付の対象となるのは、解約の手続きを行った日以降の先払い分です。廃車の手続きを行っても、保険会社に解約を申請しない限りは還付されません。
解約し忘れると還付分がどんどん減っていってしまうため、保険会社への申請は速やかに行いましょう。
自賠責保険の還付の請求は、加入している保険会社に対して行います。
自動車税や自動車重量税などとは異なり、運輸支局等で手続きをするわけではないため、注意してください。手続きでは一時抹消登録証明書、または登録事項等証明書のコピーなど、登録を抹消したことを証明する書類が必要です。
還付請求は、廃車手続きが完了して、証明書類の発行が可能になった後に申請できます。
任意保険も還付請求ができます。
強制で加入する自賠責保険と異なり、任意保険はあくまで加入者の意思にもとづくものです。
加入の義務はないため、好きなタイミングで解約や還付請求ができます。
任意保険への加入は義務付けられたものではないため、加入者が自由なタイミングで解約できます。ただし、任意保険は万が一の事故に備えてのものです。
自動車に乗る期間が残っている場合は、無保険の期間がないようにしましょう。廃車日が決まっている場合は、廃車日付で解約する、先付け解約も可能です。
還付額は保険会社によって異なりますが、ほとんどの場合で月ごとの払い戻し額は支払額を下回ります。また解約後の残存期間が1か月未満の場合は、差額は還付されません。
保険会社へ解約を連絡すると、解約申込書か契約内容変更依頼書が送られてくるので、必要事項に記入の上で返送します。
任意保険は義務ではないため、一時抹消登録証明書や登録事項等証明書のコピーなどの、抹消登録の証明書は必要ありません。
自動車を廃車にすると、税金や保険料から還付金を受け取れる場合があります。
還付金は必ずしも自動的に戻ってくるわけではなく、受け取りに申請が必要なものもあります。
受け取り損ねることのないよう、正しい手続きで還付請求しましょう。